「痛風」と聞くとオジサンがなる病気、もしくは「贅沢病」とも言われていますが、実は近年20代後半という若い男性や、特に飲酒の習慣がない人でも痛風になる人が増えています。
どうして痛風発作は引き起こされてしまうのでしょうか。

今回は、痛風の原因と避けたい生活習慣、痛風予防のための食事法についてご紹介いたします!

痛風の原因と症状

日本の痛風患者数は60~70万人は居ると言われており、全体の約98%が男性です。
痛風の前段階である「高尿酸値血症」の患者は、約600~650万人居ると推定されています。
年代で言うと40代以降が圧倒的に多いですが、最近では20代後半の若い人にも痛風の症状が現れるようになりました。

痛風は、通常一定の数値に保たれているはずの体内の尿酸の量が、なんらかが原因で増えてしまうことで高尿酸血症となり、発症します。
尿酸値の正常値は、男性で血液1dl中4.0~6.5mg/dl、女性では3.0~5.0mg/dlと言われており、男女共に7.0mg/dlを超えてしまうと、いつ痛風発作が起こってもおかしくないと言われています。

高尿酸血症と診断されてすぐに痛風発作が起こるのではありません。
高尿酸血症と診断されて痛風発作が起こるまでには、少なくとも約8年以上は尿酸値が高い状態が続いていると言われています。

尿酸値が上がってしまう理由

痛風は、突然足の指などに激痛が走り、1時間もすれば足の甲がパンパンに腫れて少しの刺激でも激痛を感じるようになるのが代表的な症状です。
この激痛の原因は体内で消費しきれなくなった尿酸が、足の関節などに付着して激痛を引き起こすことが分かっています。

尿酸はプリン体という物質を原料に生成され、主に以下の3つの方法で作りだされます。
1. 食べるものにプリン体が含まれている
2. 細胞の核酸にプリン体が含まれており、新陳代謝によって古い細胞が分解されプリン体が表面化する
3. 激しい運動などで急激にエネルギーを使うことでプリン体が生成される

魚・肉類などプリン体が多く含む食べ物を好み、毎晩飲酒する習慣のある人は要注意です。
また、強いストレスを感じることでも高尿酸血症が引き起こされます。
ジムに通う習慣があるなどで、日常的に激しい運動をしている場合でもプリン体が生成されて尿酸値が上がってしまうので、注意が必要です。

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痛風を防ぐためにも避けるべき食品・生活習慣

実際には痛風発作が起こっていなくても、健康診断で「尿酸値が高い」と診断されれば、その日からプリン体が少ない食事を心がけ、日々の生活習慣に気を付けることで痛風発作を防ぐことができます。
また、既に痛風発作が起こっている場合も同様で、体内の尿酸値量を減らすことで痛風発作を鎮めることができます。

それでは、プリン体の多い食品と避けたい生活習慣をご紹介いたします。

プリン体の多い食べ物

≪300mg以上/100g(プリン体が極めて多い)≫

 煮干し・干椎茸(出汁を含む)
 かつお・鰹節
 鶏レバー
 白子

≪200~300mg/100g(プリン体が多い)≫

 豚レバー・牛レバー
 エビ
 イワシ
 サンマの干物

≪100mg以下/100g(プリン体が少ない)≫

 豚ロース
 牛ヒレ
 ウナギ
 スジコ・イクラ
 魚肉ソーセージ
 ベーコン
 チーズ
 白米
 もやしやブロッコリー

水分を摂らない生活は避ける

通常、体内の尿酸は一定以上になると尿や便と共に排泄されます。
しかし、日ごろから水分をあまり摂取しない人は、必然的に排泄の機会も少なくなるため、体内の余分な尿酸値が出て行かず体内に溜まっていくようになります。
そのため、日ごろから水やお茶など水分を多く摂取するのを意識しましょう。

早食いをやめる

早食いは食べすぎになりやすい以外に、血糖値が急激に上がりやすくなります。
血糖値が急激に上がると、大量のインスリンが分泌され尿酸値が上昇しやすくなります。
食事はよく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。

激しい運動をやめる

若い人に痛風が増えている原因の一つとして、激しい運動を行う機会が多いからです。
激しい運動は、尿酸値を高めてしまう作用があります。

現代では、仕事帰りにジムでひと汗流す人が多く、男性は女性より激しいトレーニングを好んで行う傾向があることから、若い男性で痛風に悩む人が増えています。

運動は散歩や軽いジョギングなど有酸素運動を継続して行うようにしましょう。

飲酒の頻度を減らす

ご存じの方が多いと思いますが、ビールには多くのプリン体が含まれています。
ビールだけでなく、紹興酒や発泡酒・低アルコールビールにもプリン体が多く含まれているため、飲酒の頻度を減らすか、プリン体カットのビールを選ぶようにします。

焼酎や日本酒にはプリン体があまり含まれていないので、ビールの代わりにこれらを楽しむのも良いですね。

痛風を予防する食事法

尿酸値が高い、あるいは痛風発作が起こった人は、プリン体を多く含む食品は避けるように指導されるのが一般的です。
しかし、ほとんどの食品にプリン体が含まれているため、プリン体を全く摂取しない食生活というのは不可能です。
そのため、プリン体を多く含む食品でも、調理法次第ではプリン体を少なくすることが可能です。

それでは、痛風を予防する食事と食事法をご紹介いたします。

茹でる・煮る

プリン体は水に溶けやすい性質があるため、プリン体を多く含む食品は茹でるか煮ることでプリン体を少なくすることができます。
しかし、煮汁を飲んだり出汁として使用するのはやめておきましょう。

野菜やきのこ類・海藻類と一緒に食べる

尿酸は体の外に排出することで、一定に保つことができます。
野菜やきのこ類・海藻類には、尿をアルカリ化する効果があり、尿酸の排出を助けてくれる働きがあります。
これらの食材を使った料理を一緒に出すと、尿酸値を下げることができます。

乳製品を積極的に摂る

乳製品は、プリン体が少なく尿酸の排出する作用があるため、コレステロール値が高くない人は積極的に摂取するようにしましょう。

まとめ

激痛を伴う痛風は、誰しもがなりたくないものです。
しかし、実際には痛風発作が起こっていないのをいいことに、つい自分に甘えて生活習慣を見直さない人が多くいます。
健康診断などで「尿酸値が高い」と診断されたら、その日から痛風予防の生活習慣・食生活を心がけるようにします。

痛風は一度発作を起こすと一生の友達となり、発作を起こすごとに症状が進行してしまいます。
尿酸値が気になる人は、今日からご紹介したことを参考に痛風予防の生活をしてみてくださいね!