厚生労働省の平成20年度の統計によると、日本の離婚数は年間約25万組あったと発表しています。
また、妊娠をしても結婚をしない未婚の母や未婚の父も増えていることから、シングルファザーやシングルマザーは年々増加傾向にあります。
離婚や認知の際に必ず決めなければいけないのが、子供が健やかに過ごすための権利である養育費です。
夫婦で話し合って取り決めた養育費であすが、ある日突然支払われなくなってしまうことがあります。
今回は、養育費が踏み倒された時に確実に回収する手順をご紹介いたします。

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養育費が踏み倒される現実

離婚時の取り決めとして、養育費を月々いくら払うのか、あるいは一括でいくら払うと決める夫婦間が多いですが、実際にはこの養育費は簡単に踏み倒すことができます。
その方法は簡単です。指定した日に口座に決まった金額を支払わない、これだけです。
あとは電話番号を変えて引っ越しをし、職を変えれば簡単に連絡は付かなくなります。

シングルマザー・シングルファザーが経験する養育費の未払いは、ある日突然起こります。
養育費を支払うのが男性の場合、未払い率は実に80%と言われていて、最初は真面目に支払っていても徐々に払わなくなることが多い現実があります。
もっと極端な言い方をすれば、子供を抱えて離婚した女性や男性は、子供の母親や父親から支払うべき養育費を踏み倒されているということになります。

養育費が踏み倒される理由

養育費が踏み倒されるのには、3つ理由があると言われています。

一つは、養育費の取り決めそのものに納得していない場合です。

養育費の金額はもちろん、自分たちの子供なのに妻(夫)が子供を独占したという不満があり、自分だけお金を支払い続けるのに不満を抱いているケースです。

もう一つは、経済的に困難になったケースです。

これは、養育費の未払いで最も多いケースと言われていて、元妻(夫)から養育費の減額を要求されることもあります。
そもそも離婚は多大な経済的なストレスを伴います。
離婚時の財産分与や多大な慰謝料を支払い終えると、手元に残るのは僅かな貯金のみという場合も少なくありません。
また、不貞行為が原因で離婚した場合は、職場に居づらくなって退職することも珍しくありません。
このような経済的な要因によって、養育費の支払いが難しくなるケースが多くあります。

最後は、再婚などで環境が変化したケースです。

夫婦は離婚すれば他人に戻りますが、子供はどうあがいても自分の子供です。
子供可愛さに養育費をまじめに支払っていても、新しく恋人ができ再婚し、子供が生まれた場合は、前の子供への愛情が薄れてしまうことがあります。
「どうでもいい子供にお金をかけるなら自分の子供にお金をかけたい」と言い訳をして、養育費を支払わなくなるケースがあります。

踏み倒された養育費を確実に回収する手順

シングルマザーやシングルファザーとなった生活は、とても余裕のあるものではないことでしょう。
「親が片方しか居ないからと言って子供に苦労をさせたくない」と、生活を切り詰めて子供にお金をかけている人も多いと思います。
その状況下で、待てど暮らせど養育費が支払われなかったとしたら…。
そこで元妻や元夫から養育費が踏み倒された時、確実に養育費を回収する手順をいくつかご紹介いたします。

元妻・元夫に電話連絡

まずは、一般的な方法で元夫や元妻に養育費の支払いを伝えましょう。
電話やメール、LINEやSNSのダイレクトメッセージ、手紙などで十分です。
これでも応じない、もしくは住所や電話番号・アカウントの削除などで連絡が付かない場合は、元義両親や職場に連絡するようにしましょう。
それでも連絡が付かない場合は、探偵を雇うか、戸籍の附表をたどって現住所を突き止める方法があります。
相手の現住所を自分で調べることはできる?/離婚弁護士センター

内容証明郵便を送付する

内容証明郵便とは、いつ・だれがだれに対して・どのような内容で手紙を送ったのかを、郵便局が証明してくれる手紙のことです。
郵便局が証明してくれるので、証拠として非常に有効になるため、後々裁判となったときの資料になります。
ただの手紙では無視する元夫や元妻も、内容証明郵便が届いたらすぐに支払ったというケースも多くあります。
内容証明郵便には作成の方法が厳密に決められているため、事前に確認しておきましょう。
内容証明/日本郵政
内容証明 ご利用の条件等/日本郵政

強制執行で給料を差し押さえる

公正証書で決められた取り決めは、証明力と執行力を有します。
そのため、離婚時に公正証書を作成した際に、養育費が万が一未払いになった時に、強制的に回収することができる“強制執行許諾文言付き”のものにしておくと、裁判をせずとも裁判所より直ちに養育費を強制的に回収することができます。
この場合、元妻や元夫の給料が差し押さえとなることが多いようです。
自分で行うのが不安という人や、後々のトラブルに備えたいという人は、弁護士に依頼して手続きしてもらいましょう。
養育費の強制執行マニュアル(給料等差押の方法)/自分でやる法律手続き

まとめ

元夫・元妻側の理由で一方的に養育費が支払われなくなる現実があります。
養育費は子供が健やかに生きるための権利であり、離婚したとしても子の親である元夫・元妻の義務です。
子供は親が愛し合わなければ生まれてこないため、養育費の未払いが原因で子供が不幸になることは本来許されるわけがないのです。
ある日養育費が支払われなくなったら、今回ご紹介したことを参考に、離婚の時にお世話になった弁護士や離婚問題に詳しい弁護士に相談して、確実に養育費を回収するようにしましょう。