ゴキブリは、約3億年前から存在していたといわれる最古の昆虫です。しかし、その存在は多くの人にとって不快な気持ちにさせてしまう不快害虫として嫌われています。
ゴキブリは人間の心理面への影響だけでなく、病原菌の媒介やアレルギーの原因にもなります。

ゴキブリを駆除するための知識ついて学んでいきましょう。

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ゴキブリの生態や被害の特徴について

ゴキブリの生態

ゴキブリは約3億年前から絶滅せずに生き残っている昆虫で、「生きた化石」とも言われています。
現代のゴキブリは「森林環境に住むゴキブリ」と「人間の生活環境に住むゴキブリ」とに分かれます。

本来、ゴキブリは、熱帯雨林に生息する昆虫で、朽木や落ち葉の陰に潜んで、
日が落ちて暗くなると活動を始め、キノコなどの菌類や動物の死骸や糞、樹液などを栄養として生きている雑食性の昆虫でした。

ところが、人類が進化をして、人間が住処を拡げていく中、
一年中食物に困らない人間が住む家を生活空間とする種類のゴキブリが現れ、我々人間にとっては不快害虫として疎ましい存在となっています。

昆虫全般のことですが、
ゴキブリの雄雌は、一度交尾をして受精すると、その後、その雌は何度でも受精した卵を産むことができます。
その為、雄が死んで、雌だけとなっても、繁殖することができるのです。

ゴキブリの特徴

・集団で生息し、寝静まった夜中に活動をする夜行性である
・ジメジメと湿気が多く暖く、狭くて暗い場所を好んで生息します。
・雑食性で、食べかす、雑誌、仲間の糞、人間の垢など様々なものを食べます。
・繁殖力が凄まじい
・壁面や天井などでも走ることができる。

ゴキブリは蛹を介さない不完全変態

ゴキブリは、卵 → 幼虫 → 成虫という成長段階を踏み、成長の段階で蛹を介さない不完全変態の昆虫です。

幼虫は、翅がないこと以外の見た目は成虫と同じ形で、成虫となるまでの過程に5-7回脱皮を繰り返します。
クロゴキブリのような大型種は成虫までに2年近くの歳月が必要で、
大型種になるほど成虫までの期間が長くなる傾向があります。

ゴキブリは栄養の少ない環境下でも生活できる

ゴキブリは、体内の共生微生物によって、人間の垢や毛髪、和紙や油まで食べて栄養とすることができ、タンパク質の乏しい環境下でも生活することができます。

ゴキブリの被害

病原菌の運搬(サルモネラ菌、赤痢菌、小児麻痺ウィルス)。
糞、死骸などがアレルゲンになる。
見た目、突然の出没、不潔さなどによる不快感。
食品を食べ、書籍を汚す。電気系統の障害(ショート)を引き起こす。

ゴキブリの種類

現代のゴキブリは、熱帯地域を中心として、全世界に約4000種類生息していると言われていますが、
人間の生活空間を棲み処としている、家屋害虫となるゴキブリは、すべてのゴキブリの種類のうち1%もありません。

クロゴキブリ

クロゴキブリは、日本では全国的に分布しているゴキブリで、不衛生で湿度の高い環境を好んで生息しており、
一般家庭でよく見られます。

体長は30~40mmほどで、体の色は黒褐色で光沢があります。

クロゴキブリの翅は発達をしていて大きく、飛ぶことができます。

クロゴキブリの雌の成虫は、5~10月の間に何度も産卵を続け繁殖をします。
1つの卵に入った鞘(サヤ)には22~28個の卵が入っていて、
メスの成虫は一生のうちに15~20個の卵鞘を産みます。
つまり、1匹のクロゴキブリの雌で、400~500匹もの子孫を残す繁殖能力があるということになります。
但し、寄生蜂や、孵化してもクモなどに捕食されるため、すべての卵が成虫になることはありません。

孵化後は約10カ月~12カ月ほどをかけて成虫になるものが多く
成虫となった後は6カ月~7カ月ほど生きます。

雑食性で、食品だけでなく、木質繊維(木材・雑誌・パルプなど)、皮製品など幅広く食害します。
また、病原菌の運搬や糞などによって人間にとって衛生面への悪影響をもたらします。

クロゴキブリは仲間を呼ぶ集合フェロモンを持っていると言われ、その周りには仲間のゴキブリがいると考えられます。

ヤマトゴキブリ

ヤマトゴキブリは、日本産の在来種で、寒さに強い為、北海道などの寒い地域にも生息しています。
本来は、自然環境の中に住んでいましたが、
人間の土地の開拓によって、ゴキブリにとっての森林の棲み処がなくなってしまったことで、
人の生活空間に棲みついてしまったゴキブリです。
不衛生で湿度が高い水気のある環境を好みます。

ヤマトゴキブリの成虫は、体長約25mm~30㎜程でやや小型で細く、表面に光沢感がない特徴があります。
幼虫は、黒色もしくは濃褐色で、胸部外緑が赤褐色もしくは黄褐色となっています。
ヤマトゴキブリの雌は羽が短く、腹部の中央までしかなく腹部後半がむき出しになっています。

ヤマトゴキブリの翅は発達しているため、飛ぶことができますが、中には飛ばないものもいます。

5月~10月に産卵を続け、1つの卵の鞘には、平均で12個の卵が入っており、一生のうちに平均7.4回卵鞘を産卵すると言われています。

孵化後は約10カ月~12カ月ほどで成虫になります。

成虫は25℃くらいの環境の中で6~7カ月くらい生き続けます。

ワモンゴキブリ

ワモンゴキブリはアフリカ原産のゴキブリで、体長は40㎜以上にもなり、日本における屋内性ゴキブリとしては最も大型です。
体の色は光沢があり褐色です。前胸背板に黄白色の「輪紋」があることが名前の由来と言われています。

基本的に20℃以下の所では生きていけないため、もともとは南九州から沖縄にかけてに限定して生息してましたが、
温暖化と都市部でのビルの増設、暖房設備によって、急速に分布を拡げ、現在では沖縄から北海道まで広く見られます。

生息場所は、暖房設備のあるビル、食品街、レストラン、地下街、病院施設などで、下水道やゴミ処理場などにも生息しています。

チャバネゴキブリ

体長は11~15㎜と小型で全国的に分布し、日本国内に生息するゴキブリの中では最も個体数の多いゴキブリでもあります。
体色は黄褐色で、一般家庭だけでなく、ビルや飲食店などでよく見られます。

チャバネゴキブリの雌成虫は卵鞘を幼虫が孵化する直前まで持ち歩きます。
孵化後は、幼虫から33~70日で成虫になり、他のゴキブリよりも成虫までの期間が短いのが特徴です。
成虫後は4~5ヵ月生きます。

近年、チャバネゴキブリは、薬剤に対して抵抗性を持つものも出てきています。

チャバネゴキブリの卵の鞘には、30~40個の卵が入っており、一生のうちに3~7回、卵鞘として産卵します。

ゴキブリ対策と駆除方法

ゴキブリが住まない環境作りが一番大事!

ゴキブリを駆除しても、ゴキブリが住む環境自体を変えなければ、
いずれまたゴキブリが繁殖してしまいます。
ゴキブリを駆除する前に、ゴキブリが住みにくい環境を作ることが大事です。

食べかすや食器を放置しない!

食べた後の食品の食べかす・食べ残りのついた食器を放置しておくと、
夜中にゴキブリにとっては格好の餌となり、繁殖の原因となります。
また、ゴキブリに付着した病原菌によって食中毒の原因ともなりますので、
人間の口にする食品・食器については特に注意しなければいけません。

隙間や物陰の掃除をしましょう

冷蔵庫の裏、食器棚の隙間、コンロの隙間など、
目につかない場所に食材のカスなどの調理くずやゴミなどがあるとゴキブリの餌となり繁殖の原因となります。

生ゴミや排水口の汚れに注意!

生ゴミやキッチンの排水口の汚れなど、不衛生なものをそのまま放置しておくと、
ゴキブリが集まり、繁殖する原因となります。

ゴキブリは雑食であるため、台所に限らず、洗面所やトイレのゴミ、汚れや垢にも注意して、
ゴキブリが住みにくい、きれいな環境を保つことが大切です。

ゴキブリを駆除する方法

ゴキブリは、「卵鞘」の中に10個以上の卵を収納して産卵します。
チャバネゴキブリ以外は物陰など人の手の届かない場所に産下しますが、
ゴキブリの駆除の際には、ゴキブリの「卵鞘」の中に薬剤の成分がなかなか届かないため、
一度でゴキブリを駆除することは難しいでしょう。

エアゾール剤を散布する

即効性の薬剤をゴキブリに直接噴霧して駆除する方法や、
残効性のある薬剤をゴキブリの通り道に予め塗布しておき、待ち伏せてゴキブリの体に触れさせて駆除する方法などがあります。

ベイト剤で巣ごと駆除する

ゴキブリの巣に致死性のある毒餌を持ち帰らせてゴキブリの巣ごと駆除する方法です。
液状の薬剤散布をしないので、安全性の高い駆除の方法です。
但し、即効性はありません。

燻煙処理

加熱蒸散式と着火式があり、ミクロの大きさの霧状の殺虫成分が家の隅々まで行き渡り、
物陰に隠れたゴキブリにも効果があります。
但し、煙探知機が作動するため、作業前に煙探知機の養生が必要です。
煙がでる為、特に集合住宅などにおいては、近隣の方に知らせておかないと、
火災と間違えられてトラブルとなることがあるため、事前の連絡をお勧めします。

燻蒸処理

全量噴射型殺虫剤エアゾールと言われ、1回で使い切るタイプの商品が市販されています。
煙が出ないため、煙探知機の養生の必要はありませんが、
殺虫成分の粒径が大きいため、細かい隙間に浸透しにくいデメリットがあります。

捕獲する方法

粘着シート

冷蔵庫の下などの物陰に設置して、ゴキブリを捕獲する方法です。
薬局やホームセンターなどで市販されています。

バタートラップ

空き瓶の中に、パン粉などのゴキブリの餌をいれて誘引させて捕獲する方法です。
予め瓶の内側にバターを塗布しておくことで、ゴキブリは滑って瓶の外に脱出することができません。