5軒に1軒もの割合で、シロアリが住み着いていると言われる日本の家屋。
木造、鉄筋などの工法を問わず、私たちへ被害を及ぼすシロアリの存在は、本当に厄介です。持ち家を持っている方は“定期的にシロアリ対策を行い防ぎたい”“シロアリを見つけ駆除したい”と考えているでしょう。

その反面、インターネットの普及により「悪質なシロアリ業者に騙されてしまった」という例が年々増えていることもあり、不安を抱えている方も多いのが現状です。

「悪質業者へシロアリ駆除を依頼し、泣き寝入りになってしまった」
そんなことにならないためにも、間違いの無い業者の選び方を知っておきましょう。

インターネットの情報を鵜呑みにしてはNG!

パソコンやスマホが普及している現代、気になることはまず“ネットで検索”している方が多いのではないでしょうか?その一方で、インターネットを上手く使い、情報を操作しているシロアリ業者もいます。

その中でも被害が多いと言われているのが、シロアリ駆除に特化した「ランキングサイト」「口コミサイト」「比較サイト」です。
人気のシロアリ業者が羅列されているこれらのサイトですが、そのほとんどは、1位となっている業者が独自に製作したものです。

1位に選ばれた、もっともらしい理由が書かれていますが、その理由が事実かどうかすら分かりかねるため、根拠のないサイトを参考にするのは止めておきましょう。

そもそも、地域に寄り添いながら、誠実にシロアリ駆除を行っている業者であれば、わざわざランキングサイトを作成しなくても、顧客の信頼をしっかりと掴んでいます。

インターネットに掲載されている口コミや利用者の声、シロアリ駆除実績、保証などを、そのまま信じてしまうのではなく、疑ってかかることで、真面目に活動している丁寧な業者と出会えるでしょう。

インターネットの嘘を見抜く方法をチェック!

それでは、インターネットで人気のシロアリ業者や、お願いしてみたいな、と気になっている業者が、“良い業者なのか、もしくは悪質業者なのか”は、どうやって見抜いたら良いのでしょうか?

多くの悪質シロアリ業者には、共通した見込み客を騙すための嘘や謳い文句があるため、依頼しようと考えている業者が、それに該当するかどうかをチェックしてみましょう。

<しろあり対策協会の指定工法を売りにしている>

初めてシロアリ駆除を依頼する場合、
「公益社団法人である、しろあり対策協会の指定工法を採用しています!」
と胸を張って言われれば、つい「なるほど」と信頼してしまうでしょう。

ですが、この“しろあり対策協会の指定工法”というセリフは、悪質業者が多く使っている宣伝の手段のため、指定工法をアピールしている業者には注意が必要です。

しろありの防除は、“日本しろあり対策協会”が定めた「防除施工標準仕様書」「安全管理基準」に基づき、土壌処理、木造処理、防蟻処理、防腐処理、を行っていきますが、実際の現場は一軒一軒違うため、家屋や状態に合わせた施工が必要となります。

優れた業者は、仕様書に書かれている内容だけでなく、これまでの経験から臨機応変に、より良い処理を行う必要があると知っています。
そのため、あえて“指定工法”という言葉を、前面に押し出すことはありません。
優良業者にとっては「指定工法しかできない」と思われるのは、逆に恥ずかしいことだからです。

ホームページやチラシの宣伝文句に「しろあり対策協会の指定工法でシロアリ駆除」「指定工法を採用しているから安心」といった文章を見つけたら、鵜呑みにせず、「指定工法しかできない会社なのかもしれない」と考えた方が、悪質業者の被害に遭いにくくなるでしょう。

<しろあり防除施工士資格をアピールする>

しろあり防除を行っている人間の多くが取得している「しろあり防除施工士」資格。
大卒であれば試験のみ、その他の学歴であれば定められた実務経験を経て、受験資格を得ることができます。

「しろあり防除施工士」の資格を取得すると、登録証や写真入りのカードを持てるため、初対面の人間の家へ上がる際の身分証明書代わりとなるでしょう。しかし、「しろあり防除施工士資格」は、シロアリ業界で働く人間の多くが持っている最低限の資格です。

それほど難しい試験ではないため、資格があるからプロと判断するのではなく、資格を取得した上で、実際の現場でシロアリ駆除を多く経験している業者を選ぶことが大切となります。

登録証を片手に、次々と地域を訪問し、ずさんな施工を行っている悪質業者もいるため、「資格を持った人だから大丈夫」と、安易に人を家へ入れないようにしましょう。

また、話をよく聞くと、「しろあり防除施工士」ではなく、「“しろあり防除講習会”を受講済みのスタッフがお宅を訪問!」というアピールをしている業者もあります。この、しろあり防除講習会は、シロアリ防除に興味がある人間なら誰でも参加できる2日間の講習会ですから、講習会受講済み=プロと捉えることのないよう、注意しましょう。

<保証があるから安心だというセールス>

しろあり対策は、5年おきを目途にし、防除を行うと良いと言われています。そのため、多くのシロアリ駆除業者で、防除後、5年間の「保証サービス」が受けられるでしょう。ところが、この5年保証を巡り、現在多くのトラブルが発生しています。

「悪質な業者だったら、保証なんてしないのでは?」と思いがちですが、悪質業者であればあるほど、「うちは5年保証があるから安心です」「5年間の間に何かあればいつでも連絡してください」というアピールを行うでしょう。

本来、きちんとした施工ができていれば、5年の間に大きなトラブルが起きることは少ないのですが、業者によっては「問題ありませんか?」と定期的に巡回し、保証とは関係のない、必要のない床下乾燥材や換気扇の購入を迫る、といった被害もあります。

このような例では、最初のシロアリ施工時の見積もりが安価である場合が多いでしょう。あまりに安すぎる場合は、後から“高額商品の訪問販売をされるリスクが高い”ことを覚えておくと、被害に巻き込まれずにすみます。

倒産間近のシロアリ駆除業者も、安価で見積もり、シロアリ駆除の薬剤を薄めるなどして施工を行う悪質なケースがあります。薬剤の効果が少ない場合、シロアリ駆除がきちんとできず、再駆除が必要となる例もあるでしょう。

後から「保証期間内だから……」と連絡してみても、業者はすでに倒産済み、という例が多く、別のシロアリ業者へ依頼し直さなければいけないなど、大きな負担となる場合もあります。開業、廃業を繰り返し、各地で同じような手口を繰り返している悪質業者もあるため、注意しましょう。

悪質業者かどうかを探るためには、依頼しようとしているシロアリ駆除業者が開業後5年以上過ぎているかどうかをチェックします。5年おきに防除作業を行うシロアリ業界では、悪質商法の手口を続けた上で、5年以上生き残るのが難しいからです。

ホームページやチラシで、一年中安価なキャンペーンを打ち出しているような業者は、5年以内に廃業する可能性が高いため、気を付けた方が良いでしょう。

「老舗のシロアリ業者で跡継ぎがいない」という業者も、倒産の恐れがあるため注意します。会社情報などをチェックし、引き継いで作業してくれる社員がいるのか、社員数は何人で経営しているのか、といった点を、依頼前に調べておくと良いでしょう。

依頼の前に契約内容を隅々までチェック!

シロアリ駆除を提供している会社のすべてが、シロアリ専門業者だと思っていませんか?
業者によっては集客のみを担当し、実際に作業を行うのはまったくの別会社や個人事業主、という例が少なくありません。

安価を売りにしたサービスは、このようなケースが多く、「受けられるはずの保証が受けられなかった……」といったトラブルになる例もあるため、事前にしっかり業者や契約内容をチェックしておきましょう。

<シロアリ仲介業者と専門業者の見分け方>

「シロアリ駆除を依頼したいけれど、どの業者が専門業者なのか分からない」
そんな時には、インターネットサイトをチェックしてみましょう。仲介業者の多くがネットを通じて広告、宣伝を行っており、検索上位になるよう工夫をしているため、すぐに見つけることができます。

実際に、インターネット検索欄へ「シロアリ」と打ち込んでみましょう。
すると、検索結果の上から3つまでは広告であるケースが多いのですが、そのほとんどが仲介業者のものとなっています。

仲介業者の特徴は、専門業者では難しい幅広い対応や、専門業者ではありえないような低価格を打ち出している点です。

一例として、
「24時間、365日対応」
「全国対応可能」
「東証上場会社がサポ―ト」
「シロアリ対策協会の指定工法」
「追加料金一切不要」
「㎡あたり1,200円~」
などの目を引く言葉で、集客しているサイトは、仲介業者である可能性が高くなります。

広告だけを見ると、安心の上場企業が、指定工法かつ明朗会計で、安心安全の施工を行い、保証まで受けられる、というように見えるでしょう。ですが、フタを開けてみると、サイト主は仲介企業のため、実際に工事や処置を行うのは、仲介業者に加盟している別の会社です。

シロアリ駆除自体は無資格でも施工が可能なため、ほとんど経験のない個人事業主が作業を行う、という例も考えられるため、安易に依頼してしまうのは危険です。

そもそもシロアリ駆除や防除作業の全国平均価格は、3,500円程度だと言われています。
それを仲介業者では約三分の一の価格で行っているだけでなく、提携業者が受け取る施工費から3割~4割の手数料を取り、運営しているのです。

そのため、仮に、現場で作業をしてくれる作業員が、専門業者から来た人間であっても、㎡あたり手数料を除いた700円程度では、満足いく仕事ができる訳がありません。このことからも分かるように、丁寧にシロアリ駆除を専門で行っている業者は、まず加盟店に存在していないことが分かります。

事実、「プロのスタッフが伺います」と書かれていても、専門業者ではなく。副業や便利屋などの仕事の一環として、登録しているようなケースも多いでしょう。

仲介業者かどうかで迷ったら、気になるシロアリ駆除サイトのQ&Aやよくある質問を見てみましょう。実際に訪れる駆除業者は、サイト名の会社ではなく、全国各地の提携業者であることが記載されている場合があります。

それでもよく分からない場合は、事前にメールや電話で問い合わせてみてください。「お客様の自宅に近い、加盟店(提携業者)のスタッフが伺います」と言う返事があった場合は、本当に依頼して良いのか、一度立ち止まって考えることをお勧めします。

<質の悪い提携業者が来ても保証があるのでは?>

シロアリ仲介業者を通じて、提携業者に作業を行ってもらった結果、納得の行かない経過になってしまった場合、
「インターネットサイトに5年保証があると書かれていたから大丈夫」
そう考えていませんか?

悪質なシロアリ仲介業者を利用してしまった方が、陥りやすい罠なのですが、実は5年保証の契約は仲介会社と行っている訳ではありません。仲介業者が東証上場の有名企業であったとしても、シロアリ駆除の契約や保証は提携業者と取り交わします。

もちろん、提携業者は、5年保証を行うことに納得し、加盟店登録をしているのですが、安価での受注が基本となるため、どうしても作業が雑になったり、定められた量の薬剤を使用しなかったり、という手抜き仕事が横行してしまいます。費用の安さを補てんするため、その家屋には必要のない商品を売りつけられてしまうケースもあるでしょう。

さらに、5年以内に再度シロアリの被害が見つかったような場合も、その加盟店が継続して所在しているかどうかについては保証されていません。もし、倒産や廃業してしまっていれば、保証を受けることができず、家屋の状態はどんどん悪くなってしまいます。

シロアリ駆除を依頼するなら、仲介業者を通さなくても地域の顧客をしっかりつかんでいる、5年~10年以上の経験がある企業を選びましょう。仲介業者での作業より費用は掛かりますが、確かな経験を持ったスタッフが対応してくれるため“安物買いの銭失い”にならなくて済みます。

知っておきたい!正しい専門業者の見つけ方

シロアリ駆除を依頼するなら、仲介業者ではなく専門業者が良いことが分かりました。
それでは、信頼のおける専門業者は、どうやって探したら良いのでしょうか?

私たちはここでつい、
「口コミ+人気+シロアリ」
「評判が良い+シロアリ業者」
「安心+保証+シロアリ駆除」
などの言葉で、インターネット検索をしてしまいがちですが、先に触れた通り、それでは本末転倒です。

ネットの情報は、口コミを代行したり、まとめサイトを装ったHP作成をしたりしている業者など、嘘の情報で溢れているため、安易に信じないようにしましょう。電話帳などで、やたらと大きな広告を出している業者や、低価格のシロアリ駆除を謳ったチラシを配っている業者も、あまりオススメではありません。

シロアリ駆除は単価の高い仕事なため、まったくの素人が“インターネット知識を元に、通販やホームセンターなどで購入したシロアリ駆除剤を撒いて終わり”というケースも実際に起きているのです。

そんな被害に巻き込まれないためにも、シロアリ駆除業者選びで絶対に抑えておきたいポイントを覚えておきましょう。

<しろあり防除施工士資格を確認しよう>

「シロアリ防除施工士」資格があるにもかかわらず悪質、という業者もありますが、シロアリ駆除を行う人間が無資格、というのは言語道断です。

シロアリ駆除は、簡単な作業ではありません。
マニュアル通りではなく、建物や状況によって臨機応変に対応する必要がありますが、それを行うためにも基礎知識は必須でしょう。

また、「しろあり防除施工士」の資格取得には、講習会受講料、試験受験料、登録料で52,000円。登録後も3年ごとに講習会を受講し、その費用に32,000円が必要となります。「しろあり防除施工士」の資格を持っている人間や、資格を持ったスタッフを雇用している業者は、この費用をきちんと支払っている、という証でもあります。

シロアリ駆除を依頼する場合は、見積もり時に必ず写真入りの「しろあり防除施工士証」を確認しましょう。「日本しろあり対策協会」のホームページに、実際の証明書が掲載されていますので、事前に確認しておけば、偽物の証明書に騙されずにすみます。万が一に備え、有効期限や登録番号もチェックするようにしましょう。

<建築メーカーや工務店とつながりの濃い業者が◎>

家を建てる場合、事前にシロアリ防除の作業を行ってから販売が行われます。
この時、いつもハウスメーカーや工務店が作業を依頼しているようなシロアリ業者は、信頼が厚い業者だと言えるでしょう。家を建ててもらった施工主から紹介してもらうのも良い手段です。

一軒家に住んでいると、シロアリ駆除業者が営業に回ってくることがありますが、一軒一軒新規顧客を求め、訪問しているような業者は、ノルマがあるため強引に契約させられたり、営業費や営業マンの取り分が惹かれるため、施工費が抑えられたり、という被害も考えられます。

シロアリ駆除のみを専業で行っている業者や、全国対応ではなく地域での評判が良い業者を選択するようにしましょう。

<現状やシロアリ防除作業後の写真を依頼>

シロアリ業者の見積もりや作業は、自分では入れないような場所で行われます。そのため、実際に被害が起きているのか、きちんと施工されたのかをその目で確認することがむずかしくなります。

「ちゃんと施工して貰えたのだろうか?」
と不安にならないためにも、見積もり前に写真撮影をお願いしておきましょう。ここで渋るような業者であれば、依頼しない方が賢明です。

また、自分自身が目で確認できる場所はできる限り立ち会う。入れない場所であってもお任せにしてしまうのではなく、“作業場の近くにいる”“「どうですか?」と時々声をかける”などの方法で、業者をチェックしている姿勢を見せると、手抜きや雑施工を防ぐことができます。

<白蟻損害保険へ加入している業者を選ぶ>

多くのシロアリ業者で、5年保証が謳われています。これは、シロアリ防除の薬剤の効果が5年で切れてしまうためです。以前は10年保証を行っている業者も多くありましたが、10年効果が継続する薬剤は、人体への影響が大きく、現在では使用されておりません。
「10年保証のシロアリ防除施工ができる」
と言われても、自分や家族の健康を守る為、利用しないようにしましょう。

各業者の5年保証ですが、施工業者が倒産してしまったり、廃業してしまったりした場合は、保証が受けられなくなります。そのため、「保証があるから大丈夫」ではなく、信頼のおける業者と契約することが重要です。

一番安心なのは、業者が白蟻損害保険へ加入していることです。再駆除などが必要になった場合も、損害保険で費用を賄うことができるため、確実に保証が受けられるでしょう。施工の内容によっては、保証がされないケースもあるため、見積もりの際は、保証の適応範囲も確認しておくようにします。

<見積もり後の即決はしないようにしよう>

見積もりに来たシロアリ業者が、優良かどうか見極めるなら、その場で契約してしまわないようにしましょう。ノルマのある業者や、仲介会社からの紹介で、何度も交通費をかけ足を運びたくない、などの理由がある業者は、即決を迫るケースが多く見られます。
このような様子が見受けられたら、悪質業者である可能性が高いため、契約を結ばないようにしましょう。

万が一、契約を押し切られてしまった場合は、8日以内にクーリングオフ制度を利用することで、契約を解除できます。速やかに手続きを行い、別の業者を探すようにしましょう。

見積もりに来たスタッフを信頼できない、態度が好きになれない、という場合も、契約を行わない方が良いでしょう。「この人に任せたい!」と思える相手でないと、後々不安を抱えてしまう原因になります。

複数の業者で見積もりを行うのも良い手段です。値段だけでなく、業者の規模、地域での知名度、資格の有無、保証、人柄などすべてを考慮し、最終的な判断を下すようにしましょう。

さいごに

悪質なシロアリ業者と、真摯な対応をしている専門業者。
その違いに、気付いて頂けたでしょうか?

シロアリ駆除はどこでも同じ、ではなく、どの業者を選ぶかによって、天と地ほどの差があります。正しい選び方を覚え、気持ちの良い対応をしてくれる専門業者で、安心のシロアリ退治を行ってください。

インターネットの口コミ、比較サイトや、検索上位のサイトの情報には特に注意を払い、地域での評判が高い、優良な業者を選ぶようにしましょう。